「折戸周治賞」選考結果              2011年2月16日

                                     「折戸周治賞」選考委員会
                                      選考委員長 山田 作衛


選考委員会で慎重な審議を行い、下記の通り決定いたしました。



者 : 赤井 和憲 (高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設・教授)
       細山 謙二 (高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設・教授



受賞対象: 超伝導クラブ空洞の開発とKEKBファクトリーへの応用

授賞理由: 
衝突ビーム加速器において、KEKBLHCのように有限角度でビームを交差させると、正面衝突の場合に比べ、幾何学的・力学的な効果によりルミノシティーが低くなる。これを解決する手段に「クラブ交差」がある。すなわち、衝突点でビームバンチを交差角の半分だけ回転させ、あたかもカニの横ばいのような形で、衝突バンチが完全に重なるようにする。バンチの頭部と尾部に逆方向の力を加えるための、必要なひねりを電磁力で与えるのが超伝導クラブ空洞である。原理が分かっても、空洞の製作は非常に困難であったが、受賞者を中心とするチームは、設計開発努力を続け、それに成功した。さらにKEKBのための実用機を製作して導入し、クラブ空洞稼働の下で安定なビームを実現して、ルミノシティーの向上に寄与した。
これによって、クラブ空洞の有効性がはじめて実証された。その結果、LHCの将来のビーム増強計画でも導入が検討されている。さらにもっと広く、放射光リングや将来のリニアコライダーなどでも応用される道を開いた。基本構想から最終的な実働運転に到るまでの両氏の指導的な尽力の功績であり、ビーム衝突装置、あるいは広く蓄積リングの性能向上を可能にしたインパクトは大きい。

以上


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「戸塚洋二賞」選考結果         2011年2月16日


                                    「戸塚洋二賞」選考委員会
                                     選考委員長 荒船 次郎


選考委員会で慎重な審議を行い、下記の通り決定いたしました。


受 賞 者 : 中畑 雅行 (東京大学宇宙線研究所・教授)

受賞対象: 長年に亘る太陽ニュートリノとニュートリノ振動の研究

授賞理由:
中畑雅行氏は、水チェレンコフ型ニュートリノ観測装置であるカミオカンデとスーパーカミオカンデを用いて太陽ニュートリノ研究を1980年代から現在まで、行ってきた。1980年代にカミオカンデ実験は太陽ニュートリノの観測に成功し、太陽ニュートリノのフラックスが理論計算の半分弱であるという太陽ニュートリノ欠損の確証を得、小柴昌俊先生のノーベル賞受賞理由の一つとなったが、中畑氏はこの観測の可能性が未だ不明な初期の段階から、極めて微弱で稀有な事象の識別に綿密な工夫と努力を重ね、観測の成功に至るまで、解析の中心となって活躍した。その後、1990年代から、中畑氏は引き続きスーパーカミオカンデで太陽ニュートリノ観測を行い、その際、エネルギー測定精度向上の重要性を強く認識し、医療用線形電子加速器を譲り受けてスーパーカミオカンデに設置し、スーパーカミオカンデのエネルギー較正を行い、その結果、非常に正確な太陽ニュートリノフラックスの測定が行われた。この結果とカナダのSNO実験の結果と合わせることで、長年にわたる太陽ニュートリノ欠損の問題がニュートリノ振動によるものである、という結論で決着した。中畑氏の長年にわたる太陽ニュートリノ研究は、この太陽ニュートリノ欠損はニュートリノ振動に起因するという明快な理解に至る過程で、本質的な貢献を果たしてきた。

以上


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下記の要領で、表彰式を執り行います。

日   時 2011年3月20日(日)15:00−16:00
会   場 東京大学「小柴ホール」
〒113-0033 文京区本郷7−3−1


表彰式をご観覧ご希望の方は事前のお申込みが必要です。
こちらをご覧ください。